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ThinkPad T440p レビュー(3/5点)

 ThinkPad T440pを購入してから2ヶ月ほど経ったので、その評価を書いてみる。

 はじめに断っておくと、私はThinkPad T440p(以下、T440p)を据え置きのPCとして使っている。つまり、持ち運ぶのはせいぜい家の中くらいのもので、デスクトップと何ら変わらない運用しかしていない。よって、持ち運びの評価はできないことを記しておく。
 また、搭載OSがWindows7なので、開発者がWindows8に特化したというタッチパッドの性能も把握しきれていない可能性もある。まあ、使いにくいのは変わらないだろうけど。

 ちなみに、下記の長々としたレビューを要約すると「今はあまり勧められない」となる。性能は十分だが、現時点でタッチパッド等の調整が不十分で、使っていてストレスになる部分がある。マウスを併用する人にはさほど影響はないと思うが、トラックポイントやタッチパッドで済ませるユーザはまだ買わないほうがいい。ドライバやソフトの調整さえ済めば勧められる製品になると思うが、今はそうではない。

 

 ■評価
3 (5点満点中)
※将来的にドライバ類がさらにこなれてくれば、4の可能性あり。

■Good
・基本的なハード性能
・スペックの割に安価
・見やすいFullHD解像度の非光沢液晶
・静音性

■Bad
・一体型に変更されたタッチパッドの不安定な動作
・待機時消費電力の高さ
・キーボードの初期不良(個体問題)

 

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 私の購入したT440pのスペックは、Core i7の2.7GHzクアッドコアCPU、16GBのRAM、1TBのHDD、Full HDの非光沢液晶、カメラなし(マイクのみ)、キーボードライトなしと、盛った削ったのメリハリをつけた。
 さすがにこれだけのスペックともなればゲームでもしない限り、十分に動いてくれる。そもそも、そういった日常用途では数年前からPCの性能は十分だと思っているので評価がつけにくいが、CPUとRAMと液晶など基本性能を強化したのは仮想環境のために良かった。それなりの解像度のUbuntuがWindowsとともに動いてくれるのは開発時に便利だ。


 ちなみに、これだけスペックを積んでも16万円に収まったLenovoは決算期などに30%Offという破格の割り引きをつけるので、その時に買えば出費を抑えられる。価格が不安定なのは好きになれないが、それで安くなるのならば利用するしかない。

 なお、CPUの早さやRAMの多さなどの違いはわかりにくいが、FullHD解像度の非光沢液晶の有用性は分かりやすい。非光沢なので目が疲れにくいし、高解像度なので表示が綺麗で情報量も豊富である。使わないとわからない良さではある。

 また、地味に気付くのは静音性である。ファン自体があまり回らず、ほとんど音がしない。不快な風切り音がしないのは予想以上に気持ちが良い。従来のThinkPadよりは心なしか大きい気がするが、クアッドコアを搭載していることを考えれば仕様がないか。


 今でこそ、上記のようにハードの基本的な部分をしっかりと作っていることを冷静に評価できるようになったが、購入当初は不満が爆発していた。10年も使ってきたThinkPadがこうなってしまったことに対する憤慨である。

 特にひどいのは一体型に変更されたタッチパッドである。タッチパッドとボタンを兼用し、いかにも地雷な感じだが、実際にひどいので救いようがない。
 タップ時に座標が動いてしまったり、右クリックやジェスチャの反応もまちまちで使い物にならず、トラックポイントと併用する時は問題がさらに顕著になる。こんな出来の悪いタッチパッドをつけてコストダウンを図るならば、従来のトラックポイントに関する3ボタンだけを残してくれたほうがはるかに良かった。このタッチパッドでは新規ユーザも寄ってこないだろう。
 最近ではどうにか使えなくもない程度までタッチパッドのドライバがこなれてきたが、トラックポイントとの併用はやはり厳しく、タッチパッドのまま使っている。

 待機時消費電力の高さも気になっていた。Haswellアーキテクチャにも関わらず、一日スタンバイで放置しておくとバッテリが20%近く減っている。手持ちのSandy Bridge搭載端末と比べて何ら進歩していない。16GBのRAMや外部GPUが問題かと推測する。そこで、外部GPUを無効化したところで、10~12%ほどの低下に留めることができた。RAMのせいかまだ消費電力が多いが、据え置きだから気にしないでおく。

 さらに、輪を掛けるように不満を沸かせたのが、日本語キーボードのスペースキーの初期不良である。スペースキーの動きが渋く、押す場所が悪いとキーが戻ってこなかったり、キー自体が外れる悪質なものだ。返品なんて面倒はしたくないので、どうにか組み直した上で押し方を工夫することで使えなくもないレベルにはなったが、いまだに気温が低くなると反発用のシリコンが弱くなるのか再現することがある。
 ちなみに私は最近のThinkPadの品質は信頼していない。以前に使っていたE420でもキーボードパネルの右端がきちんとはまっていない初期不良があったので、今回のT440pで2回目ともなればさすがにうんざりする。製品そのものは一定レベルを保てているが品質が安定しない印象であり、初期型で組み立てが不慣れなのか、検品がザルだったのか、海外からの運輸中に何かあったのか知らないが、不具合が多いのは安価なEシリーズだけでないことがわかって残念だ。


 Lenovoはドライバやソフトなどのアフターサービスはよいのでいつかは解消されると思うが、少なくとも現状のタッチパッドやキーボード等のユーザとの接点をおろそかにする点は論外である。マウスを使っている人は無視すればよいが、そうでない人は相応の覚悟をすべきだ。
 そこさえ我慢できれば、質の高い液晶、静音性、十分なハード性能と相まって、快適なPCとして使うことができるだろう。

 

 

 

 

 

 

 おまけ。ThinkPadファンだった者からThinkPadとしてのT440pの評価を蛇足だが付け加えておく。

 

 T440pを単にPCとしてみるならば十分だ。他社製のノートPCに引けをとらないだろう。しかし、ThinkPadとして見たら最低の製品というのが個人的な評価である。

 「質の高い液晶、静音性、十分なハード性能と相まって、快適に使うことができる」と締めくくったが、それだけなら他社製でもいいわけである。T440pには従来のThinkPadにあったThinkPadとしてのアイデンティティが感じられないことが個人的な問題だった。


 ThinkPadとしてのアイデンティティ――私の場合はThinkPadがPCとユーザの接点をおろそかにしない点を評価していただけに、購入当初は特にT440pに失望していた。T440pをThinkPadとしてみた時には、使いにくいポインティングデバイス、特筆すべき点のないキーボード、少ないインジケータなどに強い不満がある。性能と耐久性は一定レベルを保てているが、今後それだけの端末がThinkPadを名乗っていくとなると、私はもはやThinkPadのファンではない
「過ぎにし薔薇はただ名前のみ、虚しきその名が今に残れり」

 

 うーん、T440pは悪くない製品なんだけど嫌いなんだな。赤文字が多すぎる(悩